コラム

【コラム】V・プレミアリーグ男子~”石川世代”&17歳の西田ら新戦力がデビュー~

年が明けて、V・プレミアリーグ男子のV・レギュラーラウンドはいよいよ大詰め。ファイナル6を見据えて熱い戦いが繰り広げられている。その中で例年以上に目を引くのが、高校・大学に在学中の選手の積極的な起用である。1月6日の3レグ第1戦から、小野寺太志(東海大→JTサンダーズ)大宅真樹(東亜大→サントリーサンバーズ)戸嵜嵩大(駒澤大→東レアローズ)がスタメンで出場。中根聡太(筑波大→ジェイテクトSTINGS)武智洸史(中央大→JTサンダーズ)小池勇輝(筑波大→堺ブレイザーズ)もすでにデビューを果たしている。

今シーズン、全日本の一員としてグラチャンバレー2017に出場したJTの小野寺は、年明けからの起用が最も有力視されていた選手だ。ヴコヴィッチ,ヴェセリン監督の期待に応えて、堺戦ではアタック決定率88.9%、ブロック決定本数1セットあたり1本と大物ぶりを発揮。「打ちやすいトスを上げてくれたおかげ」と、セッター深津旭弘のリードに感謝しながらも、「ミドルブロッカーは小野寺と言われるように頑張る」と胸を張っている。


同期の石川祐希、大竹壱青とともに日本バレーをけん引する、という志を胸に成長を続ける小野寺。新人離れしたプレーに注目だ。

U-23世界選手権でキャプテンを務めた大宅も存在感を発揮している。荻野正二監督も惚れ込むパス力と高い身体能力が持ち味。トスワークはもちろん、サーブやレシーブにも定評があり、早くもレギュラーセッターの風格を漂わせている。1月12日の東レ戦では「相手が外国人選手(ギャビン,シュミット)を欠いていたので、こちらもエスコバル(,ヤドリアン)に頼るバレーはしたくなかった」と、強気な一面をのぞかせた。バランスのいい配球に攻撃陣が応えて完勝し、チームは勢いづいている。


「大学生活最後の年に世界大会に選出。サントリーに内定と、一気に視界が開けた」と話す大宅。今シーズン、注目すべき選手の1人だ。

東レの戸嵜は学生時代に大舞台こそ踏んでいないが、ハイセットを高い打点でしっかりと打ち切ることができる。「数年は球拾いを覚悟してきた」「まさかのスタメン出場」「課題ばかりが残る」と、出てくる言葉は謙虚だが、コートに立つと頼もしいエースに豹変する。「ファイナル6にはギャビンも快復する。万全の体制で臨みたい」と意気込む小林敦監督。構想の中で、切り札となる可能性を秘めている選手だ。


連覇を狙う東レにとって攻撃力が高いサイドアタッカーの加入は大きい。V・ファイナルステージでどんな花を咲かせるか、楽しみな選手だ。

今春大学を卒業する選手は、2015年のワールドカップ以来、全日本の中心選手として活躍する石川祐希(中央大)と同世代である。中根、武智、山崎貴矢(早稲田大→堺ブレイザーズ)川口太一(高校卒業時に豊田合成入り)ら星城高時代のチームメイトをはじめ、石川のプレーを目の当たりにしてきた選手たちは、刺激を受けており意識が高い。それが加入早々の起用につながり、観客を喜ばせている。2017シーズンに全日本のオポジットに踊り出た大竹壱青(中央大)もパナソニックパンサーズに入団が決まっており、これまで以上にV・ブレミアリーグの戦いがおもしろくなることは間違いない。


小野寺(左)とともにJTのホーム広島大会でデビューを飾った武智。7日の試合後には二人揃ってインタビューに選出された。

その中で、大学生に勝るとも劣らない輝きを放っているのが、ジェイテクトSTINGSの西田有志(三重県海星高)だ。高校生離れした高さと破壊力のある攻撃が最大の魅力だが、守備もできるオールラウンダーをめざしている。昨年、母校にインターハイ初出場をもたらし、本大会でもベスト16にけん引する働きで一躍注目を集めた。アーマツ,マサジェディ監督はその姿に一目惚れし、「全日本も狙える逸材。すぐにでもコートに立たせたいと思った」と言う。オポジットに起用された西田は、3レグ第1戦でコートに立つと、17歳とは思えない堂々たるプレーを披露し、第2戦以降はスタメンに定着している。第3戦までのアタック決定率(平均)は60.4%。V・プレミアリーグのコートでも物怖じせず、チームを鼓舞する頼もしい新人の出現に、キャプテン浅野博亮は「早く勝利の喜びを味わわせてあげたい」と気持ちを引き締めている。


「サウスポーだが、世界と戦うことを見据えてサイドも視野に入れている」とアーマツ監督。浅野も「僕が責任をもってサーブレシーブを鍛える」と公言する逸材のプレーをぜひ会場で!

V・レギュラーラウンドは残すところ4戦。パナソニック、豊田合成、東レ、JTがファイナル6進出を決めており(1月14日現在)、残り2つのイスを3チームが争う展開となっている。新戦力の加入により勢いづくチームはどこか。さらなるニューフェイスの登場はあるのか。力のある新戦力の活躍で、ますますおもしろくなるV・プレミアリーグにご注目を!

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