<V.LEAGUE 今週のみどころ>“絶対女王”久光製薬か、最高の下克上を狙う東レか
V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)のV・ファイナルステージ ファイナル3は大激闘の末に幕を閉じた。
JTマーヴェラスと東レアローズのウエスタンカンファレンスどうしの対決は、2戦を終えてともに1勝ずつとなり、2日目のゴールデンセットに決着は持ち越された。両者一歩も譲らない攻防の末、V・ファイナルステージを持ち点0からスタートさせた東レが、ファイナル進出の切符をつかみとった。
東レは、戦いを重ねるごとに調子を上げていると言っても過言ではない。新人セッター関菜々巳が堂々と攻撃陣を操り、ヤングアタッカー黒後愛が得点を重ねる。今シーズンブレイクした中田紫乃が攻守で存在感を放ち、大黒柱のクラン,ヤナや経験豊富な井上奈々朱が若手選手をリードする。ファイナル3では初戦をフルセットの末に取りきれなかった悔しさを残したものの、翌日は精神的にも切り替えて、「落ち着きながら、集中していました」と菅野幸一郎監督。コートに立つ選手たちの経験値の浅さも、今では怖いものなしといった追い風に変わっている。
その勢いある東レを、ファイナルの舞台で待ち受けるのは、V・レギュラーラウンド、およびファイナル8を圧倒的な強さで1位通過した久光製薬スプリングス。「ファイナル3を勝って勢いに乗ってくる相手に対し、いい準備をしたい」と主力の新鍋理沙は警戒を強める。
久光製薬は、日本代表経験者を中心に据え、V・レギュラーラウンドでは積極的に若手選手を起用するなど底上げを図った。一方で、V・ファイナルステージに入ってからは、攻守でバランスの取れた石井優希や世界トップクラスのプレーを見せるアキンラデウォ,フォルケらを軸にメンバーを固定、戦術展開も確たるものになっている。『新生V.LEAGUE初代女王』の座に向けて、磐石の態勢が整っているように見えるが、キャプテンの岩坂名奈は「ゲームの出だしが悪いのが課題。セットの入り方の勢いが大事になってくる」と引き締めた。
快進撃を続ける東レが最高の形で“下克上”を完結させるか、8シーズン連続でファイナルの舞台に立つ久光製薬が“絶対女王”を証明するか。新生V.LEAGUE最初の頂上決戦は、名古屋で火蓋が切られる。
ファイナル3で悔し涙を飲んだJTは、シーズンを通して課題でもあった“好不調の波”を克服できなかった。「最初のころから比べると、何とか立ち直れるようにはなりましたが、波の激しさは目に見えていました。やはり基本は大事、そう感じました」と吉原知子監督は振り返った。
また、先週末に行われたV・チャレンジマッチ(入替戦)ではPFUブルーキャッツが、JAぎふリオレーナに連勝し、V1残留を決めた。