【データコラム】「サイドアウト」と「ブレイク」
こんにちは、Vリーグ公認アナリストの宮脇です。
10/26にV1男子も開幕し、V1女子は2レグに突入しました。先週11/2にはV2男子、今週末にはV2女子と続々と開幕して更に盛り上がってくるでしょう!
さて、今回は「サイドアウト」と「ブレイク」について解説してきたいと思います。サイドアウトとブレイクというのはバレーボールの勝敗において絶対的な数字です。必ず勝っているチームのサイドアウト率とブレイク率は高くなります。
サイドアウトとブレイクの違い
最近ではテレビ中継などでもよくつかわれる「サイドアウト」と「ブレイク」という言葉ですが、もう一度おさらいしておきましょう。「サイドアウト」とは、サーブレシーブ側のチームがそのラリーを制し得点することです。サイドアウトを取ったチームは、ローテーションを行います。
一方、「ブレイク」とはサーブ側のチームがそのラリーを制し得点することです。
ブレイクを取ると連続得点となり、得点したチームはローテーションを行わず再度同じ選手がサーブを打ちます。テニスでも「ブレイク」という言葉が使われますが、テニスとは使い方が逆ですので注意しましょう。
サイドアウト率は相手サーブから始まるラリーを得点にできたラリー数÷相手のサーブ数で計算できます。
ブレイク率は自サーブから始まるラリーを得点にできたラリー数÷自サーブで計算できます。
サイドアウトとブレイクの考え方
バレーボールでは圧倒的にサイドアウト側(サーブレシーブ側)の方が有利です。
男女によって差はありますが、サイドアウト側がそのラリーを制する確率は約70%とされています。男子のトップレベルであるDIVISION1となると、サーブレシーブがセッターに良い状態で返球された時のサイドアウト率は80%にもなると言われています。つまり男子の場合、弱いサーブを相手に打ってもほぼ確実に相手にサイドアウトを取られてしまうので多少サーブミスのリスクを負ってでも強いサーブを打って相手のサーブレシーブを崩すことが重要になります。
日立・芳賀選手のサーブで久光製薬のサーブレシーブを崩し、攻撃できるアタッカーを絞る
サイドアウトとブレイクを取るための戦術は今後のコラムでも紹介しますが、サイドアウトを取る要素はサーブレシーブと攻撃パターン、ブレイクを取る要素はサーブ、ブロック&ディグ、切り返しの攻撃です。サイドアウト側のチームは、サービスエースを取られないようにサーブレシーブのフォーメーションを工夫し、セッターが攻撃パターンを各アタッカーに指示を出し相手のブロックシステムに合わせて適切なアタッカーを選択しトスをあげます。
ブレイク側のチームは、誰をサーブで狙うのか、予めどんな攻撃パターンがあるのか頭に入れ、アタッカーの特徴に合わせてブロックの位置取りを調整します。
「データバレー」が当たり前のように使われている現在では、ローテーション毎のサイドアウト率やブレイク率が出るのは当然ですが、「〇〇選手がサーブレシーブした時のサイドアウト率」や「Aパス(セッターへの完璧な返球)が返球された時にミドルがBクイックにおとりに入ったら〇%はライトに上がる」というように細かく分析されています。
サイドアウトとブレイクのせめぎ合いに注目!
サイドアウトとブレイクは常に対立してラリーが行われます。サーブは意図や狙いが分かりやすいですが、実はサーブレシーブ側も細かい駆け引きを行なっています。例えばサーブレシーブを構える位置も、コート前方に構えたり、時には下がったりして、サッカーのディフェンスラインのようにコントロールされています。また、リベロが大きく守備範囲をとって、コート上に空いているスペースを見せて、相手サーバーにそのスペースにサーブを誘導するというプレーも見られます。
東レ・井手が大きく守備範囲をとる
サイドアウト側はいかに効率良く得点を取るか、ブレイク側はどうやって相手のサーブレシーブを崩しアタックを決めさせないか、という攻防が常に繰り広げられています。バレーボールを見る際には選手たちの細かい駆け引きにも注目してみてください!
次回のデータコラムでは、バレーボール特有のルールである「ローテーション」について解説します。
ローテーションのポイントがわかると、試合の展開をより深く楽しめるようになると思いますので、来週もぜひご覧ください!
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<Vリーグ公認アナリスト>
宮脇 裕史(Hiroshi Miyawaki)
2007-2014 JTマーヴェラス コーチ兼アナリスト
2014-2016 バレーボール・女子日本代表 サポートアナリスト
2017- バレーボール女子アンダーエイジカテゴリー日本代表・アナリスト
(公益財団法人日本バレーボール協会)
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