【コラム】個人賞を解説!-ブロック決定本数-
今回のコラムでは、前回に引き続き個人賞のひとつである「ブロック賞」に着目し、決定項目となる「ブロック決定本数(セットあたり)」について解説していきます。
ブロッカーの”シャットアウト"はバレーボール観戦で盛り上がるシーンのひとつですが、トップ選手は1試合で何本のブロックを決めているのでしょうか。
トップブロッカーは1試合で何本の"シャットアウト"を決めるのか
技術統計をもとにした個人賞は、チーム全試合数の70%以上の出場かつチーム全セット数の67%以上の出場セット数を満たす選手が対象になります。その中で、「ブロック得点(1セットあたり)」が最も多かった選手がブロック賞を受賞します。
下の表は、2019-20V.LEAGUE DIVISION1のブロック決定本数ランキングのTOP5(1/30現在)と、直近5シーズンのブロック賞受賞者の成績をまとめたものです。
※ポジションは、OH:アウトサイドヒッター、MB:ミドルブロッカー
男子については1セットあたり0.8得点前後、女子では0.9得点前後のブロック得点をあげていることが分かります。1試合あたり少なくとも3セットは行なわれることを考えると、トップブロッカーは1試合で2本以上はシャットアウトをしていることになります。
ポジション別に見ると、やはりブロック機会の多いミドルブロッカー陣がランキングに名を連ねています。
一方、1/30時点でV1男子の5位にパナソニックパンサーズのアウトサイドヒッター・クビアク選手がランクインしています。攻撃時のネット際での駆け引きの上手さが際立つクビアク選手ですが、ブロックでも出した手を引いたりするなど、判断能力は見る者をうならせます。逆サイドからの攻撃にも3枚ブロックでつける世界レベルのスピードやジャンプ力、空中姿勢など、クビアク選手のアタックだけでなくブロックにもぜひ注目してみて下さい。
歴代の受賞者を見てみると、パナソニックの白澤選手や東レアローズの富松選手などベテラン選手が受賞しており、相手の攻撃に対する"読み"や"駆け引き"が必要となるブロックならではの円熟味も感じられます。そんな中、現在のランキングではJTサンダーズ広島の小野寺選手が1位をマークしており、若手ブロッカーの台頭が期待されます。
V1女子は既に日立リヴァーレのタップ選手が2019-20シーズンのブロック賞に輝きましたが、2位の荒木選手とともに1セットあたり1得点以上というハイレベルな戦いを繰り広げました。荒木選手は2019年10月27日にブロック決定本数の日本記録を更新しており、これまでのシーズンで積み重ねられてきたブロック本数の重みを感じます。
また、身長190cm台の選手が多い中で179cmの芥川選手(JTマーヴェラス)がランクインしていることにも注目です。”スピードスター”と称されるように移動の速さがこの結果に繋がっているのかもしれません。
1試合で最もブロックを決めた"キル・ブロッカー"は
個人賞の受賞の対象となる「ブロック決定本数」は、レギュラーラウンドでコンスタントに結果を残した通算成績によって決まりますが、”シャットアウト”を決めまくり、最も記憶に残った”キル・ブロッカー”は誰なのでしょうか。
◆V1女子 日立リヴァーレ タップ,ハンナ選手(2020/1/12 対ヴィクトリーナ姫路戦でのブロック得点:11点)
B帳票はこちらから
◆V1男子 パナソニックパンサーズ 白澤 健児選手(2019/12/7 対FC東京戦でのブロック得点:8点)
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◆V1男子 JTサンダーズ広島 小野寺 太志選手(2020/1/25 対東レアローズ戦でのブロック得点:8点)
B帳票はこちらから
◆V1男子 東レアローズ 富松 崇彰選手(2020/1/26 対パナソニックパンサーズ戦でのブロック得点:8点)
B帳票はこちらから
試合あたりのブロック決定本数もB帳票に載っていますので、スカッとしたい日はブロックの多い試合を帳票でチェックして、ハイライトまたはV.TVのVODで見るのもいいかもしれません。スローで見ると、選手の目線や空中での手の動かし方が分かりますのでじっくり観察してみて下さい。
今回は個人記録としての「ブロック決定本数」から”シャットアウト”に注目し解説してきましたが、効果的なブロックタッチや相手アタッカーへのプレッシャーなど、数字に表れない部分もブロックを語る上では欠かせない要素です。【データコラム】ブロックシステムを片手に、DAZNの見逃し配信やハイライトのエンドカメラ映像で、選手の位置取りや手の出し方などのブロック技術にも注目です。
今週の見どころコラムでも、各カテゴリーの”仕事人・ミドルブロッカー"を紹介していますのでそちらも必見!ぜひご一読下さい。
・V1男子2/1-2週の見どころ
・V2&V3 2/1-2週の見どころ
次回は、同じく個人賞のひとつ「サーブ賞」に関連する「サーブ効果率」などについて解説します。バレーボールで唯一の個人技であり、ブロックされずに攻撃することが許されるサーブ。サーブの種類や選手それぞれのルーティンなどにも注目して、週末の試合をお楽しみください。
<NEWS>
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2019-20シーズンの大会方式をおさらい
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【コラム】知っておきたいルール解説(タイムアウト・選手交代・チャレンジ)
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