【コラム】個人賞を解説!-サーブ効果率-
そしてDIVISION2 WOMEN(V2女子)はいよいよ最終週。こちらは2位以下の順位とV・チャレンジマッチへの出場権、そして個人賞(技術統計項目)が全て今週末に確定!猫田記念体育館(広島県広島市)から目が離せない展開となっています。
今回のコラムでは、前回に引き続き個人賞のひとつである「サーブ賞」に着目し、決定項目となる「サーブ効果率」について解説していきます。
ワールドカップバレー2019での、ジェイテクトSTINGS・西田選手の5本連続サービスエースが記憶に残っている方も多いと思いますが、バレーボールの中で唯一「誰にも邪魔されない攻撃」であり「自分ひとりの力で得点することができる」のがサーブです。
もの凄いスピードで自分に向かってくるサーブと、コーナーの隅をピンポイントで狙ってくるサーブ、皆さんはどちらが嫌ですか?
サーブ"効果"はどうやって判定する?
技術統計をもとにした個人賞は、チーム全試合数の70%以上の出場かつチーム全セット数の67%以上の出場セット数を満たす選手が対象になります。そのうち、出場セット数×2本以上の打数がある選手の中で「サーブ効果率」が最も高かった選手がサーブ賞を受賞します。
サーブ効果率は次の式で計算されます。
サーブ効果率=(サービスエース×100+サーブ効果×25-サーブ失点×25)/サーブ打数
【サービスエース】サーブが直接相手コートに落ちた場合や、レシーバー・レシーブチームの一連のプレー中のミスで得点になり、その原因がサーブにあったもの
【サーブ効果】 相手チームのサーブレシーブを崩し、サーブレシーブ失敗と判定されたサーブ
※サーブレシーブ失敗については、次回のコラムで解説します。
【サーブ失点】 打ったサーブがネットを越えなかった場合や、アウト判定になった場合などサーブによる失点
サーブ効果は、日本バレーボール協会公認の技術統計判定員が、各プレーをリアルタイムに判定し技術統計データを蓄積しています。会場にお越しの際には判定員がどこにいるのか探してみて下さい。
トッププレーヤーの効果率は約15%
下の表は、2019-20V.LEAGUE DIVISION1のサーブ効果率ランキングのTOP5(2/6現在)と、現在と同一の算出式で判定されている直近2シーズンのサーブ賞受賞者の成績をまとめたものです。
男女ともに、サーブ賞受賞者は15%前後のサーブ効果率をあげていることが分かります。
男子については、直近2シーズンはジェイテクトSTINGSの選手が受賞しており、今シーズンもカジースキ選手と西田選手がトップ争いを繰り広げています。しかしここで注目したいのは、西田選手の「ノータッチ」と「エース」を足した「サービスエース」の多さです。カジースキ選手でも48本のところ、西田選手は60本のサービスエースを獲得しており、うち45本が「エース」。レシーバーを弾いて点を獲る印象がそのまま結果となって表れているようです。
女子は既に個人賞が確定し、JTマーヴェラスのドルーズ選手が受賞しました。2位のトヨタ車体・荒木選手に2.5ポイント差を付ける結果となりましたが、ドルーズ選手の変化するサーブに対し、各チームが対応に苦慮したことが伺えます。
ジェイテクトの2選手は失点もあるものの、それを上回る得点や効果を上げており、攻め続けるチーム方針が表れているとも言えます。それぞれの局面でサーバーがどのような狙いでコースや球種を選んでいるのか、宮脇アナリストの「ブレイク戦略」の回をおさらいしてから試合映像をチェックしてみて下さい!
1試合で最もサービスエースを獲ったのは、やはりあの人
個人賞はレギュラーラウンドの通算成績によって決まりますが、1試合で最もサービスエースを獲ったのは・・
やはりこの人でした。
◆V1男子 ジェイテクトSTINGS 西田 有志選手(2019/11/17 対東レアローズ戦でのサーブ得点:7点)
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◆V1男子 ジェイテクトSTINGS 西田 有志選手(2020/1/19 対東レアローズ戦でのサーブ得点:7点)
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◆V1女子 デンソーエアリービーズ 鍋谷 友理枝選手(2019/11/23 対KUROBEアクアフェアリーズ戦でのサーブ得点:6点)
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驚くべきことに、↑ の3回のケースはいずれもストレート(3セット)の試合でした。サービスエースを獲られた際には、タイムアウトをとるなどして間を空け、いかにサーバーを乗らせないかというのも重要なポイントかもしれません。
また打数は多くないものの、ここぞという時に選手交代でコートに入る"リリーフサーバー"も重要な役割です。コートに入った直後にベストなパフォーマンスを発揮しなければならない難しい役回りですが、久光製薬スプリングスの加藤選手や平山選手のように若手が起用されるケースも見られます。リリーフサーバーが入った時には、なぜそのタイミングで入ったのかも考えながら試合を観てみて下さい。
それぞれの”ルーティン"にも注目
サーブは、トスを上げてからボールを打つまでの一連の動作を1人でできる唯一のプレーです。
そのため打ち方だけでなく、ボールを受け取ってからホイッスルを聞き、8秒以内にボールを打つまでに選手の個性が出ます。
先ほど紹介した鍋谷選手は「招き猫サーブ」と呼ばれる手の動きが特徴的な選手です。今シーズン2位につけたトヨタ車体・荒木選手が両腕を横に大きく広げるシーンを目にした方も多いかもしれません。
パナソニックパンサーズの大竹選手も腕を広げるルーティンを行っています。この動画の2"40には同じくパナソニックの兒玉選手、2"57には深津選手のサーブシーンが入っていますので打つまでの動作の違いをぜひ見比べてみて下さい。
今回ご紹介した映像には入っていませんが、打つ前の動作だけでなく、ボールの受け取り方や受け取ってからの歩数など、選手それぞれに"ルーティン"があります。ホイッスルが鳴っていない時間も選手の動きに注目してみて下さい!
今回は個人記録としての「サーブ効果率」に注目し解説してきましたが、選手に「バレーボール観戦時のオススメ座席」を聞いた回でもあったように
・サーブの変化がよくわかる(パナソニック/伊賀選手)
・サーブを打ちにくる選手の表情が見える(トヨタ車体/村永選手)
という点は、エンド側席のオススメポイントのひとつです。観戦チケットを購入される際には、ぜひ参考にしてみて下さい。
次回は、同じく個人賞のひとつ「サーブレシーブ賞」に関連する「サーブレシーブ成功率」について、Vリーグ公認アナリスト宮脇さんに解説いただきます。選手別成績・ランキングから各カテゴリーのトップ選手を確認して、週末の試合をお楽しみ下さい!
<NEWS>
Vリーグ公認アナリスト宮脇さんによる、V1女子ファイナル会場での直前解説はV.TVで視聴できます。
会場に行けなかった方も、ぜひアナリストの世界を覗いてみて下さい!
視聴はこちらから ※無料会員登録が必要となります。
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<LineUp>
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